レーガン大統領に渡った空外上人の茶碗の経緯
(河波上人から伺った話)
 
理事長
 江 角 弘 道

 昨年の9月27日に、前理事長河波定昌上人への感謝の記念品を届けるために、光明園(東京都練馬区)を訪れました。
 その時に、いろいろと諸説があった「レーガン大統領に渡った空外上人の茶碗の経緯」について、河波上人から次のようにお聞きしました。
 「昭和61年の東京サミットで訪日したレーガン大統領に、当時の中曽根首相から土産に、空外上人の茶碗(出西窯の作品)が贈られた経緯については、四元義隆(よつもとよしたか)氏(明治41年〜平成16年)が深く関与されていたとのことであります。四元義隆氏は、右翼運動家で、歴代総理の陰の指南役でした。西郷隆盛とは親戚関係があり、血盟団事件の共同正犯の一人として実刑判決を受けている人物です。四元氏は、中曽根元首相のご意見番でもあり、全生庵では、山本玄峰老師に師事して、共に坐禅をしていました。さらに四元氏は、河波上人の従兄の中屋博氏の友人でもありました。
 中曽根元首相は、レーガン大統領への土産について、四元氏に相談していました。そのころ戦没者慰霊祭の記念の茶会があり、四元氏は、友人の中屋博氏に、茶会のための茶碗を1つ貸してほしいといわれたそうです。そこで、中屋氏は、河波上人に貸し出す茶碗のことで相談されました。河波上人は、毎日使っていた空外上人の茶碗(出西窯の作品)を貸し出されたとのことです。四元氏は、その茶碗のすばらしさに感激されて、いただきたいと申し出られました。その茶碗が中曽根元首相を通じてレーガン大統領への土産になったそうです。箱書は、たぶん四元義隆氏であろうと思われます。」
 この話を出西窯の多々納弘光氏に報告すると、大変喜ばれて、空外上人の茶碗(出西窯の作品)でおいしいお茶を一服頂きました。はたして、茶碗のすばらしさがレーガン大統領にわかったかどうかは不明のままです。
 このことについて次の空外上人話があります(いのちの賛歌 山本空外講義録 龍飛水編集 2007年発行、267ページ)。
 「先日、アメリカのレーガン大統領が日本へこられた時に、中曽根総理がさし上げなさったみやげの一つに、わたくしが染筆もして焼いた茶碗があります。そのことを雑誌の記事にしたいからと取材を申し込んできた方がありました。断った。そうでなくても忙しいのに、そんな雑事に煩わされるのはかなわん。わたくしはいつまで生きられるかわからない。しておかないといけない仕事が山ほどあるのだから、そんなことで邪魔されるのがかなわん。そうすることが、わたくしの生活にプラスになると思って下さるのでしょうが、関係ない。
 ナムアミダブツの清らかな永遠の幸せに比べたら、自分の焼いた茶碗が、アメリカの大統領のみやげになったことなど問題にするにはあたらぬ。念仏をする方にもそれがわかっていない方が多い。それではせっかくの念仏がもったいない。」

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